【報告書】作成者:ましろ

Top Page › アイノコトバ 【 ときどき恋の話をしよう 】 › 2004.12.04 【 恋しいけれど 】
2010-01-15 (Fri) 07:49

2004.12.04 【 恋しいけれど 】

味気ない映像と音声が、一日の終わりを事務的に告げていた。

小さく手を振りながら彼を見送ったのは、ほんの数分前。
空のグラスをぼんやりと見つめながら、突然冷えてしまった部屋に戸惑う。
静かな孤独を楽しむ時間が、今ではどこか物足りない。

不意に蘇る、甘いひと時。


雨を避ける様に駐められた車に乗り込んだ。
明らかに寝不足の彼は、短時間の仮眠を取っただけらしい。

「寝ないで本当に、平気?」

軽くうつむいた彼の肩に手を伸ばしかけたその瞬間、
息が詰まる程に強く、強く抱きしめられた。

「逢いたかった。」

聞き慣れた声が耳元で、甘えるように優しく響く。
言葉にならないまま、私は身を預けていた。



彼が帰宅する頃に「おやすみなさい」とだけ送信する。

今夜だけはゆっくり眠って欲しいと願いながら、
安心したようにまどろむ彼の寝顔を想う。

柔らかなその温もりにずっと触れていたくて、『恋しいけれど』。
-------------------------------------------------------------------------------------------
スポンサーサイト



最終更新日 : -0001-11-30