【報告書】作成者:ましろ

2022-11-12 (Sat) 08:10

アイノコトバ。

まだ、覚えてる。
くちびるを離した瞬間に香った、ほろ苦さ。

こんなに心が軋むなんて。

不意に疼き始める、甘い痛み。

「俺のこと好きなら、止めないの?」

少し呆れたように。
それから誤魔化すように、
悪戯っぽく彼が笑った。

一瞬だけ、時が止まって。

甘さを纏った視線が絡みつく。
首筋を滑る優しい指先から
身体中を伝ってゆく
痺れるような感覚に、

抗うことなんて
できるはずもなくて。

もういちど。

瞳を、閉じた。


盲目的に従ったとして、
キミがワタシノモノになる訳じゃない。
それだけは、解ってた。

「【いつだってきっと私の方が好きだから。】

・・・止めないよ?」

視線を合わせずに言い放ったから
どんな表情で聞いていたのかは、
わからないけれど。

キミは知らなかったでしょう?

そっと隠した、【アイノコトバ】を。
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BGM:Owl Night/葛葉
【Owl Night/MV】 / 【Owl Night/歌詞】
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最終更新日 : 2022-11-12

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