★から始まるコードを入力した。
”CONGRATULATIONS”
色味の少ない画面に際立つ、赤。
その下には画像が続いている。
そして残されていた、「誰か」の記録。
デザイナーのグループ。
”多くのプレイヤーがアルティメット・ミッションのことを正しく誤解している。そして正しい誤解がアルミを複雑に見せている。”
そして白衣、か。
画面を閉じると、脳髄ウサギからの宣告が残されていた。
”リセット”
これから幾度も繰り返されるのだろうか。
世界の全てを知るまでに。
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”CONGRATULATIONS”
色味の少ない画面に際立つ、赤。
その下には画像が続いている。
そして残されていた、「誰か」の記録。
【Log 00】
机の上でぼうっとディスプレイが光を放っていた。ノートPCのファンがけたたましい音をたてて、まだ厳しい九月の熱気をかき混ぜ続けている。こんな状況で、この部屋にある五〇台近いPCの電源が一斉に入ったらちょっとした灼熱地獄だが、午前〇時を過ぎた今、その心配はないだろう。
じんわりと汗ばんだ手でマウスを操作して、ウェブページを送る。ネイチャー・ニューロサイエンスに掲載されている論文のいくつかのURLをスマホに転送すると、イスにもたれて背を伸ばした。お世辞にも新しいとはいえないイスがぎしっと鈍い音をたててしなる。
……今後のことも考えると、もう少し改良が必要だな。
一部の連中は、先のテストで良い結果が出たことで満足しているようだが、そこで満足してしまっては科学の進歩はない。現状維持とは退化と同義だと、連中は教わらなかったのだろうか。
わき上がるいらだちを抑えながらスマホを手に取ると、いくつかの情報を選び出した。情報を適度に断片化して文章をそれらしく整えると、メッセンジャーでデザイナーのグループに送りつける。すぐに既読マークがつき、何人かがこの新しいミッションに取り組み始めたことがわかった。遅くても明日には、さらに形を変えて拡散されるだろう。
多くのプレイヤーがアルティメット・ミッションのことを正しく誤解している。そして正しい誤解がアルミを複雑に見せている。
ノートPCを閉じて片手に持ち、立ち上がる。質量に押し流された生ぬるい風が白衣の裾を揺らした。
デザイナーのグループ。
”多くのプレイヤーがアルティメット・ミッションのことを正しく誤解している。そして正しい誤解がアルミを複雑に見せている。”
そして白衣、か。
画面を閉じると、脳髄ウサギからの宣告が残されていた。
”リセット”
これから幾度も繰り返されるのだろうか。
世界の全てを知るまでに。
【リセット】→ 最初からやり直す
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最終更新日 : 2016-06-28