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オレンジ色の光が、列をなし、順に、後方へと流れていく。
私はバスの座席に座り、じっと窓の外を眺めている。
「物語はすでに動き出した」
と、アルベルトが言った。
「ソルがバッドエンドを書き換えていく」
「そんなことになにか意味があるの?」
「意味をみつけるのは君だ」
窓ガラスには、悲しげな顔でこちらをみているアルベルトが、淡く映り込んでいた。虚像の彼女とも目を合わせないようにして、私は首をふる。
「彼らは未来を書き換えるのでしょう?それでは無意味よ。私が変えたいのは、過去なのだから」
「プレゼントを使って」
「そう。新しいプレゼントを生み出して」
「でも君には、それができなかった」
「ええ。センセイは私を選ばなかった」
「それは違う。センセイはどちらが悪魔なのか、定義していない。君だって救われるべき少女だ」
「嘘よ。センセイは『あの子』さえよければどうでもいいの。彼のことなんてなにも考えていない」
アルベルトは口をつぐむ。彼女だって知っているのだ。彼の幸福は踏みにじられている。
最後尾の座席から、声が聞こえた。
「そろそろ、トンネルを抜けるよ」
少女の声。センセイが救われるべきだと定義した少女の声。
バスがトンネルを抜ける。
その先の光景は見知ったものだった。
何度も何度もみた。「彼が元に戻る」景色。
「私はただ、彼を救いたいだけなの」
センセイが救おうとしない彼を。
私か、少女のどちらかが、そう言った。
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最終更新日 : 2015-07-30