【報告書】作成者:ましろ

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2014-07-27 (Sun) 23:51

『ドイルの視点1』 / 書籍P:182、185

ドイル1 架橋米線
※『ドイルの視点1』:架橋米線 秋葉原店より発見。ポエム後半、動画『少年ヒーロー』より。

 彼はアカテと呼ばれる。その由来は知らな
い。こいつの手が本当に赤いのかもわからな
い。アカテはどこにでもいそうな、メガネを
かけたスーツ姿の男だが、いつも軍手をつけ
ている。食事中でもだ。
 架橋米線はアカテが足しげく通っている店
だ。ここにくればたいていアカテに会える。
こいつはいつも同じ、回鍋肉のランチを食っている。
 俺はアカテに近づいて、「相席、いいか
い?」と声をかける。
「今日の天気は?」
 とアカテは言う。
「大雨だ。でも夕方にはあがる」
 そう答えて、俺はアカテの向かいに腰を
下ろす。

「大阪に行くことになったよ」
 とオレは言った。
 回鍋肉を米の上に載せてかき込みながら、
アカテは答える。
「お前にしては近いな」
「旅に距離は関係ないさ」
「厄介事か?」
「そうでもない。ただの親孝行だよ」
「ああ。親父さんのアパートか」
 どうしてわかったんだ、と尋ねる必要はな
かった。アカテは元々、親父の仲間だ。この
店も元々、親父がアカテに紹介したらしい。
 歳が30は違うふたりがどういう風に出会
い、どうやって信仰を育んだのかは知らない
し、興味もない。なんにせよこいつは、オレ
にもいろいろと力を貸してくれる。
 オレも店員に回鍋肉を注文してから、ぼや
いた。
「久しぶりにまともなことを喋ったと思っ
たら、アパートの掃除をしてこい、だよ。まっ
たく身勝手で嫌になる」
 掃除というのは正確ではない。セッティン
グ? よくわからないが、部屋の内装を指定
通りに整えろとのことだった。奇妙な頼みだ
が、断りもできない。
「お前、ドイルを引き継いだのか?」
 とアカテは言った。
 オレはじっとアカテの顔をみる。今度は、
尋ね返さずにはいられなかった。
「あんた、どこまで知ってるんだい?」
 親父はある会に所属していて、そこではド
イルと呼ばれていた。オレはその「ドイル」
を引き継ぎたいと頼んだ。その条件として親
父が出したのが、大阪のアパートの件だ。
 アカテは笑って肩をすくめる。
「べつに、なにも知らない。前に親父さんか
らちょっとした頼まれごとをしただけだ」
「どんな?」
「いつかきっと、リュミエールって女を捜し
てこの店を尋ねてくる奴がいる。だがリュミ
エールはもういない。その役割はドイルが引
き継いだ。そう伝えてくれってさ」
 リュミエール。その名前まで絡んでくるのか。
「役割ってのはなんだい?」
「オレは知らない。ただ伝えろと言われてい
るだけだ」
「そうかい」
 オレは肩をすくめてみせる。
 親父に似ていると思ったことはない。だが
オレは親父に似ているとよく言われる。アカ
(真っ白なページ)
テにまったく同じような頼み事をしようとし
ているのだから、確かに似ているのかもしれ
ない。
「実は東京を離れているあいだ、あんたに連
絡役を頼みたいんだ」
「いつも通りだな」
「ああ。いつも通りだ。」
 似た頼みは、これまでも何度かした。
 オレの仲間は、アカテに「相席いいか?」
と声をかける。アカテは天気を尋ねる。その
質問には「大雨だ。でも夕方にはあがる」
と答える。
 それでアカテは、オレの情報を仲間に伝え
る。伝言板みたいものだ。ちょっと面倒だが
ハッキングされることもない。友人というの
は人類史の古くからあるものだ。古くから
残っているものほど確実だ。
「頼んだよ」
 とオレは言った。
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ドイル1 ドイル2 ドイル3 ドイルの視点1の4枚目 ドイル5
ドイル6 ドイル7 ドイル8

アカテに「相席いいか?」と声をかける。
アカテは天気を尋ねる。その質問には「大雨だ。でも夕方にはあがる」と答える。

アカテに合言葉を伝えたら貰えた茶色い紙袋 右の封筒に青い流れ星のカードが入っていて開くと招待状が挟んでありました 招待状 入場証1
アカテから受け取った紙袋に入っていたもの1つ目 →ニコ生「他人のアパート家探し」 http://live.nicovideo.jp/gate/lv187374000
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最終更新日 : 2014-12-21

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